貧乏お嬢様と執事君!
「………そうだわ」
由姫華の頭の中に何かが思いついたようだ。
空になった湯呑を手元に置き、彼女は目を輝かせた。
カイトに激しい胸騒ぎが襲った。だいたい由姫華のいいアイデアは他人にとってはバッドアイデアなのだ。
「お姉様がカイトを解雇したらいいのよ」
案の定だった。カイトの脳内辞書が解雇という字を訳すまで数秒の時間を要した。
解雇?お嬢様が自分を?
そんなことはない、と言い切れないのがこの立場の辛いところだ。いやどんな立場でもそうだろう。自分と同じ思いだとは限らないのが人間だ。
ねぇ、と表面だけ甘えるような猫なで声を由姫華はだした。
カイトは冷や汗をかきながら鷹司を黙視した。
鷹司は硬い表情のまま由姫華を険しい瞳で見つめた。実の妹に敵意をこめた目を向けるのは初めてなのではないか、とカイトは思った。
「そんなこと、しないよ。たとえそれが由姫華の願いだったとしても」
きっぱりと鷹司は言い放った。その言葉は由姫華にとって意外だったようだ。