トルコの蕾
おでこからほっぺた、鼻、唇に、ちょんちょんとキスをしながら正樹は笑った。
「絵美ちゃん、俺やっぱり今日は泊まるのよそうか?」
絵美がぱちりと目を開ける。
「明日の朝、迎えに来るよ」
正樹はそう言って立ち上がると、困ったように笑った。
「…嫌だ…」
蚊のなくような声で絵美が言った。
「帰らないで」
「ここにいて。…もう泣かないから…」
セックスが怖かったんじゃない。
比べられるのが怖かった。
他の誰かと、比較されるのが怖かった。
正樹のことが大好きで、世界で一番大好きだから。
自分も、もしできることなら正樹の一番でありたかったのだ。