トルコの蕾
絵美が小さな蚊のなくような声で、「帰らないで…」と呟いた。
その瞬間、正樹はたまらなくなって、思わず絵美を抱きしめていた。
「絵美ちゃん…俺、絵美ちゃんが好きだ」
正樹はそう言って絵美を抱きしめたまま、水玉模様のシーツのかかったベッドにゆっくりと倒れ込んだ。
絵美のシャツの背中に手を滑り込ませながら、柔らかな唇をくわえるように吸い付いた。
時折びくんと震える絵美の身体を、そのたびにぎゅっときつく抱きしめると、小さなベッドがきゅっと軋む音がする。
白く細い柔らかな首筋に、何度も何度もキスをした。
絵美がか細い声で「んん…」と漏らすたび、正樹は自分の中から溢れ出す愛しさを感じていた。