みだりな逢瀬-お仕事の刹那-
マンションに到着し、バタンと性急にドアを閉める。すぐさまロックをかけ、ヒールとおさらばした。
「……だるい」
疲れたなんて生ぬるい表現だ。ハイヒールのお陰で、足は浮腫みまくりでもう歩きたくない。
元々、体力だけには自信があった。学生の時も、オールは平気なタイプだった。
とはいえ、気遣いで神経をすり減らすのは堪える。……猫かぶりをしているから余計か。
玄関先にバッグとレジ袋を置き、そそくさと脱衣スペースへ向かった。
ジャケットとスカートを脱ぎながら、早く仕事から離れたいとシャツも放る。
そこでTシャツとショートパンツのルームウェアに着替えた。メガネは外して、ひとまず洗面台に放置。
ハーフアップにしていたヘアも解き、ダッカールでお手軽まとめ髪にチェンジ。
そこで鏡に疲労の顔を滲ませた自分が映ると、目を瞑りたくなる状態だった。
まさにグロッキー。疲れが顔に出ているとは認めたくないけど、これが老化のサインなのか?
ようやくスッキリして玄関へ戻り、次は腹ごしらえをしようと置き去りにした物を手にした時。
ピンポーン、とオートロックのインターフォンが鳴った。この夜も遅い時間に誰だ?
面倒だと思いながらも踵を返して、リビングに備え付けの電話機を取った。
「はい?」
「――俺」