みだりな逢瀬-お仕事の刹那-
驚きの声が漏れると同時に開いた腔内に、一気に押し入る舌先になす術はない。
むしろ、迎え入れたが最後。籠る熱を分かち合いたくて、自ら彼の舌先を求めてしまうのだから。
深まる口づけによって、くぐもった声と水音が鼓膜を揺らす。
その間もウエスト辺りを撫でる手に、何度となく体内の高ぶりを示すように震える身。
それを悟られているのだろう、力の抜けた私の背は資料棚へつけられた。
同時に、俄かに震えた足の間を社長の膝がグッと簡単に割ってくる。
スラックスとストッキングの衣擦れでさえ新たな熱を生み、荒い呼吸が苦しくなるばかり。
いつしか縋るように仕立ての良いスーツを掴み、爽やかな香りを求めて距離を詰めてしまうのは女の性。
胸を押してこのぬくもりを拒絶すべきなのに、求められるとそれが出来ない。
抗うことはおろか、さらなる熱を欲している自分がひどく狡猾的で嫌気がさす。
生理的な涙が瞳を潤す中、チラリと脳裏を掠めた僅かな理性が悲しみの涙を作る。