LOVELY☆ドロップ
だけどそれはできない。
あたしがここにいれば、潤さんはもちろん祈ちゃんにも多大な迷惑をかけてしまう。
お別れをしなければならない。
あたしも潤さんに習ってこみ上げてくる吐き気と戦いながら祈ちゃんと同じ目線になった。
「ごめんね、祈ちゃん。お姉ちゃん、家に帰らなくちゃいけないの」
「ええええっ!? ヤだ、ヤだヤだヤだ!!」
祈ちゃんはあたしの話しを聞いたとたん、地団駄(ジダンダ)を踏んで抗議してくる。
バタバタと足音を奏でるたび、彼女と同じように家中の物も音が立つ。
そのおかげで、緊迫した空気に拍車がかかる。
「また、遊びに来るから……ね?」
これは嘘だ。
祈ちゃんを安心させるための……あたしの言葉を聞き入れてくれるための嘘。
遊びになんてもう来ない。
祈ちゃんともこれで最後だ。
嘘をついてはいけないけれど、でも、この嘘をつかなければ小さな優しい天使は納得してくれないだろう。
あたしは苦しくなる胸を堪(コラ)え、祈ちゃんに本当だと、信じてほしいと目線を交えて訴えた。
「ほんとう?」
祈ちゃんは、あたしの視線をしっかり受け止めて、それは本当かと何度も確認してくる。
「うん、ほんとう」
だからあたしは深くうなずき、それが真実であることを信じてもらうため、口角を上げて微笑んでみる。
あたし、うまく笑えているかな……。