911の恋迷路

 
 携帯を慎に渡したこと。慎を弟として可愛がっていたこと。

 (だって、陵くん、あなたは今、慎さんを助けたよ)

 

 陵の後ろ姿。

 

 陵が今なにを思い生きているのかは、


 果歩には分からない。

 

 でもその後ろ姿は、あの春の日のまんま。

 ここに、ある。


 
 本当に久しぶりだ。

 昔、お台場でデートした日に着ていたのに似たパーカーをはおっている。


 


 果歩は陵の背中に顔を寄せていた。


 磁石が引き合うみたいに。
< 144 / 232 >

この作品をシェア

pagetop