911の恋迷路

 
 あの日と同じ、陵の匂い。

 陵を愛し、ともに過ごした日の匂い。




 あの日に戻りたい。


 ふたりでお台場海浜公園でデートした、あの春の日に。

 (陵くんが愛情をいっぱいくれた日に)


 戻れないから、無性に戻りたい。




 稔が黒い携帯を陵に差し出した。


 「兄貴、コレが分かる?」

 陵は小さく首を横に振った。

 

 果歩は急に恥ずかしさを感じて、陵から離れる。
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