911の恋迷路

 
 そんなやり取りを慎の瞳が静かに見守っていた。

 

 (こんなとき、陵くんならどうしただろう)

 果歩は考える。陵の取っただろう行動を想像してみる。

 …きっと……。


 (さっきの発言は、陵くんの優しさからだよね?)

 自分の周りにいる人を大事にする人だった。

 

 (陵くん、あたし…)

 責められている慎をそのままにして、置けない。


 果歩は口を開いた。

 「……携帯のなかに」

 慎をかばいたい。
  
 きっと陵も、病でなければ、そう願うと思う。


 

 果歩は勇気を出して稔に意見した。

 「この携帯に、『慎へ』というメールがあります」


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