911の恋迷路
「おいしそう、でもジャガイモって鍋に入れるの?」
ごろっと男爵イモがビニールから顔を出す。
話が本題からそれたためか、果歩の顔に笑顔が戻る。
それを愛おしそうに眺めて、隼人はジャガイモをつかみ上げる。
「結構、うまいぞ」
「ジャガイモで一番おいしい料理は、『肉じゃが』でしょ」
「2番でもいいよ…けどさ、3番目は我慢ならねえ…」
隼人がジャガイモの話に絡めて果歩にジャブを送る。
「お前さ、信じてるけど…ふたりっきりで慎と逢うんじゃないぞ」
今度はカウンターパンチだ。痛烈で真正面からのパンチ。
『俺は果歩を譲らない』