911の恋迷路

 狭い店内を動き回る人の音と食器が触れ合う音の中で、
 
 大事な告白をするために。

 「陵くんの弟に、今は恋している」

 

 口にすると頬が熱くなって、カップを持つ手が震えていた。

 (言ってはいけない告白)

 罪悪感が広がってくるも、胸のつかえが取れた、

 
 本当に言いたい想いを形に出来た喜びも溢れてくる。


 

 「言われちゃったな」

 慎は頭を掻いて恥ずかしそうにテーブルを指でタップした。
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