911の恋迷路

 「慎さんは、もっと幸せな時間を求めてもいいんだよ」

 「果歩さんもでしょ」

 「うん、いつの間にか、

  嬉しい時間や楽しい時間が怖くなっていたかも」

 

 再び与えられない気がしていたのだ。

 陵がアメリカに旅立って、


 果歩の元に戻ってこなかった時から。

 
 (幸せな時間がもう怖かったの。
  与えられた分、

  未来には無くなってしまう気がしていたの)
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