911の恋迷路

 横断歩道を渡って、
 JR池袋駅を通り過ぎても慎はドンドン歩いていく。

 「待って」

 慎が立ち止まった。

 

 コートとバックを片手に持った不自然な格好の果歩。

 果歩は荒い息に中、慎に提案する。


 「やっぱり、稔さんの所へ戻ろう」

 「……」

 「慎さんが稔さんに言ってくれたこと、嬉しかったよ」

 あたし、嬉しかったよ。
 その想いを込めて慎を見つめる。

 
 そして、
 
 果歩は慎の手を静かにほどいた。
 コートをはおって、
 
 バッグから携帯を取り出す。

 「電話すれば、まだつかまるよ」



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