マスカレード【仮面de企画】
「乙姫様は、美幸と巧さんが一緒にいるって言ってたわよ」


「僕も確認したよ。個室に二人っきりで入って出て来ない」

悟の口元がいたずらっぽく微笑んだ。


「わたし達のミッションは成功したのね」


「ああ。あの二人、両思いだってのに何年無駄にしたことか!」


「本当に手間がかかるわね」

わたしは笑った。

「あっちも収まるところに収まったみたい」


わたし達の視線の先では、深紅のドレスを着た志鶴が悟の従兄の圭吾さんに寄り添っていた。


「今夜、圭吾はお人形さん遊びってとこかな」


「あんたが言うと、やらしく聞こえるのはなぜかしら?」


「僕がやらしいからだろ」

悟はそう言いながら、近くを通ったウエイターからシャンパングラスを二つ取った。

「どうぞ、クールビューティ。僕らの成功に乾杯だ」


わたしはグラスを受け取った。


「乾杯」


繊細な泡が鼻腔をくすぐる。

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