マスカレード【仮面de企画】
「でも、本当によかったの?」

悟はグラス越しにわたしを見た。

「滝田のコト、好きだったんだろ?」


危うくシャンパンが鼻に入りそうになった。


「気がついてたの?」


「うん。僕より頭がいいのに、高校の三年間ずっとBクラスにいたのが不思議だった。滝田といるためだったんだよね?」


わたしはうなずいた。


美幸とは中学で出会った。

すぐに意気投合し、親友になった。美幸が巧さんに失恋したと泣いた時、あの子を抱きしめて慰めて――そして自分の気持ちに気付いた。

わたしは美幸に恋をしていた。


「いいの。美幸がわたしの気持ちに応えられないのは分かり切っているし、友情を壊したくないわ。そっちこそ、志鶴が好きだったんじゃないの? いつもすごく大事にしてるじゃない」


「しづ姫は僕にとっては妹だよ」

悟は志鶴の方を優しい目で見た。

「もしも僕が女の子と恋をできるタイプだったら、君の言う通りだったかもね」

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