スピリット・オヴ・サマー
「私、廊下の反対側にうずくまって、耳を塞いだ。聞きたくなかった…。先輩のこと忘れようとしていた。あの日からずっと。本当はずっと憎んでたんだって、先輩のこと、ずっと憎んでたんだってことに気づいた。憎んでる自分が嫌だったから、他の人を好きになって忘れようとしてたんだ…。それなのに、先輩は忘れてなかった、私のこと、忘れてなかった!」
聖菜はそう言い放って突っ伏すと、膝を抱えて嗚咽した。小さくて細い身体が大きく波打つ。憲治は、込み上げる動揺を押さえつけながら、聖菜の肩に手を掛けた。しかし。
「さわらないで!」
聖菜の意外な抵抗に遇って、憲治はひるんだ。
聖菜はそう言い放って突っ伏すと、膝を抱えて嗚咽した。小さくて細い身体が大きく波打つ。憲治は、込み上げる動揺を押さえつけながら、聖菜の肩に手を掛けた。しかし。
「さわらないで!」
聖菜の意外な抵抗に遇って、憲治はひるんだ。