森林浴―或る弟の手記―



何かがある。


私はそう思いながら、墓を磨いていきました。


すると、二人で磨いていた為、あっという間に墓石は綺麗になりました。


艶々と光るそれは、建てたばかりのようでした。


「綺麗になりましたね」と、幸乃は微笑みながら言いました。


もしかしなくとも、もっと穏やかな人生があったのかもしれない。


皺の増えた幸乃の横顔を見ながらそんなふうに思いました。


もっと、穏やかで幸せな人生。


幸乃も佐保里姉さんも、本来はそういった人生を歩めたのかもしれない。


幸乃は直接不幸に見舞われたわけではありません。



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