森林浴―或る弟の手記―
早苗が死んだ時とは比べ物にならない程の落ち込みようでした。
当たり前です。
二十年以上も手元で育ててきた最愛の息子です。
私はそれを殺したのは香保里だとは言えませんでした。
香保里は私の母も殺しているのです。
母を病室の窓から落としたのは香保里だったそうです。
その母が死んだ時の佐保里姉さんの様子ははっきりと覚えています。
母も修介も香保里に殺された。
こんなことを佐保里姉さんに言えるでしょうか。
言えるわけもありません。
それを言うには、佐保里姉さんの人生の全ては香保里によって狂わされたとも告げなくてはならないのです。
落ち込んだ佐保里姉さんに尚更追い討ちをかけるようなことは出来ませんでした。