異端の足掻きは月のみぞ知る
仮にも、僕のドジっ子が覚醒してぐうぐう寝続けたとしても、気温が丸っきり違うような場所まで一晩で運ぶのは無理だ。
夏である場所から冬である場所に運ぶなんて飛行機使わなきゃできないだろう。あ、船もあるが。
何にせよ、寝ているだけの僕を短時間で遠方に運ぶのは無理だし、小狐丸だけを所持させておくのもおかしい。
「奇想天外、不可思議不思議、おっかなびっくりな魔法かなぁ」
先ほどから独り言が多いのはご愛嬌として見てほしい。声を出さなきゃ、自分が正気なのかどうかが分からないんだ。
耳に入る声で、きちんと僕は起きているし、ここにいると認識する。
握りしめる小狐丸――短刀を鞘に納めた。
僕なりの見解は魔法関係。