異端の足掻きは月のみぞ知る
別に僕が魔法使いというわけではない。
魔法に詳しいというわけではなく、知り合いに魔法使いがいるのだ。
……妄想だね、と哀れみの目で見た奴はいないと信じよう。
僕だって信じられないが、小野妹子が男と高校入った時に初めて知った以上の衝撃を僕はつい先日見たのだ。
彼女は紛れもなく魔法使いだった。
そうして、小狐丸を僕に託した。
それだけではなく、ついさっき吸血鬼にもあった。
こんなとこに来る前――寝る前に僕は毎夜の習慣たる殺人を犯した後に吸血鬼に出会う。日本の欧米化現象は知っていたが、まさか吸血鬼までいるとは。……あれ、吸血獣とか名乗ってたかな。どっちでもいいけど。
そんな歩くファンタジーにあったせいか、こんなおかしなことにもさして動揺はしなかった。