失恋レクイエム ~この思いにさよならを~
すんすん、と鼻をすする音だけが車内に聞こえて情けなさでいっぱいだ。
慣れた手つきで彼は車を発進させた。
「あの、」
「どうしたい?」
わたしを遮るようにそう言った彼、けれどとても優しい声だった。
「家に帰って独りになりたいか、俺の家にくるか、それともどこか他の所に行くか。どうしたい?」
赤信号で止まり、こっちを向いた羽賀さんの顔を見てまた涙が出てきた。
なんでだろう。
どうしてこの人こんなに優しいの?
「あ、心配しないで、俺はジェントルマンだから泣いてる子を襲ったりはしません」
「ジェントルマンって」
「なんだ、少しは笑えるじゃん」
良かった、とつぶやいた自称ジェントルマンはまた車を走らせる。
「羽賀さんホント優しすぎ」
「ん?何か言った?」
「今は…独りにはなりたくない、です」
「りょーかい」