涙の数だけ花束を


「へぇ…」とだけ呟いた彼にあたしは続けた。


「有り得ない噂だけどね。

社長がわざわざ東京の本社から北海道に長期滞在なんて…

する意味が無いでしょ?」


「そりゃそうですよね。」


「社長に会った事は無いけれど、きっともう良い歳のおじさんよ?

もし噂が本当なら都会に疲れて田舎の空気を吸いたいだなんて気楽に思ってるに違いないわ…。」


ぶつぶつと文句を言うあたしの隣で彼はクスクス笑う。


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