アイの在り方
「じゃ、さようなら」
キーホルダーごと鍵を顔面に投げつけて走った。それは全力疾走した。
………―自由だ!あたし自由になったんだよね!
もう、あいつに殴られ蹴られはなくなったんだ!携帯チェックされたりGPSかけられたりもないんだよ!すごい!あたし自由!
わぁいって手を広げて一目散に向かったのは…―
「久しぶりに来たぁ…」
そう、あのビルの屋上。
あの人に会いたいからじゃない。頼りにしようと思ってるわけでもなくて。
呆気なかったけど自由を手にした視界に映る夕焼けの空を純粋な気持ちで見たかっただけ。
柔らかくてフワフワのオレンジ色の雲が夕焼けの紫と橙色に混じって落ち着いた色を出しているのが綺麗だった。
大きく深呼吸して深く息を吐くと、もう全部が愛しいぐらいに素敵に見えた。
「うわ〜……ここからの景色ってこんなに綺麗だったんだ…」
爪先立ちしながら遠くの景色まで見る。家はなくなったけど、やけに気持ちはスッキリしていて何でも出来る気がする。