アイの在り方

とにかく高い場所からなら一発で死ねるかも知れない。安易な考えだけで古びたビルの屋上まで来た。

「ここなら…」

錆びて所々剥げている古びたフェンスから覗き込むと下は車がおもちゃみたいにびゅんびゅん走っていて。

痛いかも知れないけどほんとに一瞬で終われるかも。掴んだフェンスに力を込めて右手を伸ばしたその時…―


「死ぬの?」

後ろから聞こえた声に振り返った。そこにはヒョロッとした男の人が首を傾げて立っていた。

「………」

はい、死ぬつもりなんです。なんて答えられるはずもなくて黙ったまま見つめ合う事10秒。

「……止めとけば?」

「と…止めないで下さい!あたしなんて生きてる意味ないんです!」

すると、その人は後頭部をガシガシ掻きむしりながら表情なく言った。

「いや、あんたが死ぬのは勝手だから知らないけど下にいる人に当たると迷惑だし車も通れなくなる可能性あるからやるなら森でひっそりと首吊る方がよっぽど人に迷惑かけないと思うよ?」


…………え?


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