アイの在り方
………―それは、否めない。
キレたら手がつけられないぐらいの奴だったし。
フェンス越しに見える景色を少し眺めて大きく深呼吸した。
そして、また生きるんだと絶望を考えながら揃えて置いた靴を履いた。
「帰ります…どうもお騒がせしました…」
「いえいえ、何のお構いもしませんで」
………ほんとにな。
ハァとため息をつきながら屋上を後にしようとした時に呼ばれた。教えた名前じゃなく"ねぇ!"と。
「………な…うわっ!」
小さな物体が目の前をすばやくかすめカランと地面に落ちた。
それは、可愛い包み紙の飴玉。
「あげる、それ食べると元気と勇気5億倍」
「ご…億倍って…」
でも、何だか気持ちが軽くなった。ピンク色の綺麗な飴玉を口にほうばりながら家に戻った。