薄紅空


「は・・・?」



露は、目を見開いて月都の宮を見上げる。



「私の妃(みめ)として、宮にのぼるがよい。」



皇太子にこのようなことを言われれば、露のような村娘に断る権限はない。



「どういうことでございましょう。」




「私は、そなたを見初めた。私の側にいるべき女子よ。」




淡々と言う月都の宮に、露は呆然と頷いた。




「露。そなたはまだ穢されていない。早く見つけることができ、よかった。」




この時の月都の宮の言葉は、露にはまだ理解出来ていなかった。




「月都の宮様の、お言葉のままに。」



ここにいても、自分のことは何一つ分からない。




ならば、世界を変えてみたい。



露は、そう願い、月都の宮について行った。



< 13 / 20 >

この作品をシェア

pagetop