薄紅空
それから、露は里長の家の者に送ってもらって家に帰った。
「た、ただいま・・・」
「おかえり。」
おそるおそる土間をのぞけば、奥の部屋に奈津が独りで座っていた。
「母さん、何それ。」
奈津の側に行き、露は驚いて声を上げた。
奈津の膝の上にあったのは、薄紅色で仕立て上げられた美しい着物。
こんな村にあるのはおかしい、と露でも分かっていた。
「これは、あんたがくるまれていた着物だよ。朝焼けの空の下で、あんたはこれにくるまって眠っていたんだ。」
奈津は微笑んで言う。
「あした、発つんだってね。」
「うん・・・・」