【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
信じられないものを見たように、その目が見開かれる。
「ケル……ベロス」
晃一郎は、一年前、主である優花が死んだ時に姿を消した『守護獣』の名を呼んだ。
コードネーム『ケルベロス』。
遺伝子工学が生み出した、時空を飛び回る、有翼の獣。
優花は、その懐に居た。
翼を持った大きな獣に抱かれて、眠っているようだ。
薄明かりでも、見紛うはずがない、美しい銀色の髪が、電灯の光を受けて、キラキラと輝きを放っている。
「優花……?」
『シンパイない。ネムっているだけだ』
低い声のような、ケルベロスの思考波が、晃一郎の脳にダイレクトに響いてくる。
「そうか……」
優花の力の覚醒を意味する、銀色の髪。
言葉もなく、見つめる晃一郎の表情は、どこか、影を帯びていた。