【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~
『優花、自分を信じろ。お前ならできる。そう思ったから、俺は今ここに居るんだ』
諭すように言うその言葉に、静かに目を閉じる。
自分を信じる……。
もう一人の優花が、魂を削って命を救い、未来を託してくれた、
もう一人の玲子が、自分の命と引き換えに、力を目覚めさせてくれた、
晃一郎が、守るべき庇護者ではなく共に戦う仲間として信じてくれる、
『如月優花』という自分自身を――。
大きく息を吸い込み目を開け、晃一郎の肩越しに、玲子を真っ直ぐ見据える。
――あそこに居るのは、私の大切な友達。
もう二度と、失えない友達。
なら、この手で守るしかない――。