守るべきもの
石神と入れ違いで、飯田の妻が病室に入って来た。


何度か会った事があるが、別人かと疑うほど、やつれていた。


「この人は、簡単に死なないと思うわ。」


しっかりとした声だった。


そんな時に、飯田の指が動いた。


「病院長!」

私は叫び、ナースコールを押した。


「至急、石神先生を呼んで! 病院長の指が動いたの!」


「ほらね。簡単には死なないでしょ。」


飯田の妻は微笑むと、一筋の涙をこぼした。
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