守るべきもの
「話は短めにお願いします。」


石神は修平に言った。


「分かりました。」


病室に入ると、飯田の妻は夫の顔をタオルで拭いていた。


(いい夫婦だな)


「さっそくお話しを伺いたいのですが、奥さんは席を外して頂けますか?」


修平の相棒の大橋が言った。


「家内には隠し事は何もないので。」


「では、率直にお聞きします。犯人の顔は見ましたか?」


「いや、見なかった。サングラスとマスクをしていた。」


「何か特徴はありませんか? 身長など、何でもかまいません。」


「身長は、私と変わらないと思う。体格は少し、細めだった。」


そこで、飯田が顔をしかめた。


当たり前だ。20分ほど前に目覚めたばかりだ。

「何か思い出したら、ご連絡下さい。」


修平が飯田に背中を向けると


「靴…。」


「靴?」


「えぇ。以前、病院に入っていた掃除業者の靴に似ていた気がします。」

修平は意気込んだ。


「以前というのは、どれくらい前ですか?」


「悪いが、事務所に聞いて下さい。苦情が多くて契約解除した…と言えば分かるはずです。」


ここで、飯田は目を閉じた。


「ありがとうございました。」


修平と大橋は深々と頭を下げた。


「早く犯人を見つけて下さい。」


飯田の妻も深々と頭を下げた。
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