ワイルドで行こう

 まだやまないどしゃぶりの雷雨。時たま夜空を激しく走る稲妻が目の前に。轟く雷鳴の中、英児は国道から峠の手前で真っ暗な林道へスカイラインを走らせ始めた。
 緑の木々が鬱蒼としている山の奥へと入っていく。街灯も少なく、民家もない。伸びきった夏草ばかりの林道。そこをさらに脇の小道へと英児が入っていく。
 月も星もない雨の夜だから、本当に闇夜へと忍んでいく感覚。
 琴子の胸がドキドキとしている。暗くて怖いのもある、でも、英児が考えていることが判ってしまい……。そしてそれはいままでの琴子なら躊躇うことだけれど、でも、いまは『まさにそれだ』とでも言いたくなる心境だった。
 こんな雨の夜、誰も通りもしない真っ暗な林道。その片隅にスカイラインが停車する。
「嫌なら、他に行く」
 エンジンを切った英児が、少し心配そうに琴子を見た。でも琴子は首を振る。
「大丈夫。誰にも邪魔をされたくないし、まだ……龍星轟は……。でも他の部屋も嫌。ここがいい」
 スカイラインの中でいい。
 そう微笑み、琴子からサンダルを脱いだ。デニムのショートパンツのベルトを自ら外し助手席で脱いでしまう。それを確かめた英児も腰のベルトを外す音。
 湿った服を躊躇わずに脱ぎ合う。ショーツも、ロングのダンガリーシャツも、ブラジャーもなにもかも取り払い琴子は自ら全裸になった。
「シャツくらい羽織っても……」
 ティシャツを脱いでいる英児がそう気遣ってくれたが首を振り、琴子から運転席へと向かう。
 まだ脱ぎ終わらない男の身体の上に、女の白い裸体が乗る。
 雨ばかりの暗闇とはいえ……。一糸まとわぬ姿で自ら男の身体の上に乗ることには、まだ恥じらいが残る。でもいまは、なにもかもを英児に投げ出したい。
 運転席のシートに身を沈めている英児の目の前は、差し出されるように乗っている女の裸体。だからなのか、男の目、とても満足そうに輝いていた。暗闇でも判る。
「琴子……」
 彼の大きな手太い指が、琴子の白い太股を掴んだ。柔らかな女の肌に逞しい腕が伸び、その手が白い皮膚をすべらかに辿り、最後につんと露わになっている乳房をゆっくりと揉んだ。英児の太い指先が柔らかに食い込んでいく感触を知り、琴子は甘い息を小さく吐いた。
「琴子、もう待てねえ」
 雨で湿った琴子の黒髪を英児の手がかき上げる。頬に沿っていくその手に琴子はそっと口づける。目の前の彼へと眼差しを戻すと、暗闇のはずなのに本当に天然石のように黒々と光ってみえた。

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