ワイルドで行こう
「今すぐ、」
彼の頬も温まって火照り始めているのが判る。唇も、手も。その手が琴子の乳房を撫でながら、その唇が琴子の白い乳房から誘っている赤い蕾を狂おしそうに吸い上げた。
彼の熱い手先が、琴子の肌を滑っていく。乳房から、なめらかな腰、そして後ろに回って背中も。狂おしそうに撫でてくれる。そして英児は琴子の胸元に頬を寄せ掠れた声で繰り返した。
「もう我慢できねえよ。今すぐ、今すぐ、俺のところに来いよ」
俺のところに来い。もう二度と離さない。琴子はずっと俺の傍にいるんだ。そう繰り返す。
彼から『躊躇い』という重荷が下りた証拠。重荷がとれたらいつもの彼らしく直ぐに決断。『すぐ俺のところに来い』。
そして琴子は満ち足りた微笑みで、そんな彼の黒髪の頭を胸元で抱きしめる。きつく。
「うん。行く、貴方のところに……行く。私もずっとずっと貴方の傍にいる。もう、一人にしないから」
ゴロゴロと響く雷鳴、時折、窓の向こうで雲間が青白く光る。その瞬間だけ二人の姿が映し出される。その時、互いの黒い瞳と眼がとても近くで絡み合っていた。
琴子。
英児……。
裸の女を上にして、素肌になった男と女がきつく腕と腕を絡めあい、肌を寄せ合い、そして激しい口づけを何度も何度も繰り返す。むしろ離れなかった。口づけが会話のように途切れず、でも互いの欲しいものを探り合っている。
男の指先が女の蜜を探して、女は男の硬くなる情熱を探る。その渇望に突き動かされ見つけたものを確かめ合って、そして二人は自然にそれを共に引き寄せて、生物のすべてがそうするようにこの暗闇の木々の中、言葉で確かめ合わずそのままひとつになる。
あ、あっ。エ、エイジ……。
ずっと離れていた灼けるような甘い痛みに、はしたない声を突き上げてしまう。
でも琴子の身体が勝手に動く。窓に手をついて、もう片手は後ろにあるハンドルに掴まって揺らしていた。その女の責めに、英児も息を弾ませている。でもこちらも負けるはずもない。琴子の柔肌に指先を食い込ませ、強く打ち込んでくる。
うっ……あん、あんっ
「我慢すんなよ。雨も、雷も、緑が……お前を隠してくれている。見えてるの俺だけだ。だからもっと……」
だから。そんな堪えていないで。唇を噛みしめていないで、もっともっと……。俺に琴子を見せてくれよ。
英児の声も掠れて、時々裏返るほど喘いでくれている。