ワイルドで行こう
「やっぱりー。タキさんはともかく、琴子さんが絶対に怒るだろうと思っていたからさあ」
長年の付き合いで、こちらのおじさんも何がどうなったら滝田家がどうなるかなんてお見通し。
「お父ちゃんは夜遅くまで走りに出ちゃって、帰ってくるのが遅かったよ。お母さんはお祖母ちゃんのところに行っちゃうし」
そう言うと、武智専務がとても驚いた。
「それって、家庭内別居みたいじゃん」
なんていいながらも、武智専務はけらけら笑っている。
それもこれも、小鳥同様にこちらのおじさんは両親を長く見てきただけに、小鳥以上に良くわかっているから。
「無理無理。どっちかが寂しくなってすぐに仲直り。一晩だってもたないよ。心配することないよ小鳥」
「うん。もうそこで濃厚な仲直りしていたみたい。見てないけどね」
するとそこは武ちゃんは顔をしかめて呆れた顔。
「まったく。子供がいるんだから、気付かれないように……」
「無理無理。とくに父ちゃんが。毎朝、お母さんに触らないと気が済まないんだから」
「だよね、だよな! 滝田ジュニア達にとっては今更か!」
また専務がおおらかに笑い飛ばす。だけど小鳥はひとこと。
「父ちゃんがカッとなって止められないのは仕方ないなと思ったけど、私、矢野じいにちょっとひとこと言っておきたいよ」
「あー、それも無理無理。矢野じい、あれでけっこうパニックだったんだよ」
パニック? 小鳥は目を見張る。今はともかく、矢野じいは以前は誰よりも冷静で、カッとなる父をいちばんに抑えていた大人だったのだから。