ワイルドで行こう

 英児のまわりにふわっとした香りが広がって、そして、心地よい肌の体温がそっと寄り添ってくる。
「英児さん。起こしてごめんね、眠っていたのに」
 寝そべっていた英児の背に、琴子がそっと寄り添って抱きついてきた。
「いや、俺は、琴子とこうして話して眠りたかったから、今夜は眠る前に話せてよかった」
「寝ていていいよって、いつもお願いしているのに。でも、いつも待っていてくれて、英児さんの声を聞けて、私もほっとしているよ。ほんとうよ」
 背中から聞こえてくる甘い声。疲れていてかすれているのに、でも優しくて甘い声。そして抱きついてくるやわらかいさとあたたかさ。
 本当に、俺はもう独りではないんだなあと実感する幸せな瞬間だった。

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