牛乳と猫スーツ。
気配を消し、ゆっくりと覗き込んだ。廊下のちょうど真ん中くらいに、見知った人が2人、背中合わせに立っていた。
「ん?雪さんと菫さんだ…。誰かが腰抜かしてるのか?」
ここから見ると、恐らく2階最後の生き残りの男子生徒が、雪の前で腰を抜かしてガタガタ震えていた。菫は雪の後ろで背中向けていた。
「やっぱり私、銃は嫌いよ…。」
嫌いと言いながら、銃にマガジンを込める。
「っ………!!」
腰を抜かしていた人が雪に向け銃を撃つ。
弾込めしているときなら、倒せると思ったのだろう、大多数の人もそうするはずだ。
でも直樹なら撃たない、逃げる。あの状況は既にチェックメイトだ、もし雪だけだったら直樹も撃つだろう。しかし後ろにあの人がいる。
発砲音とほぼ同時にキィーンと金属がはじかれる音がする。
後ろで背を向けていた菫が、いつの間にか雪の前に出て、片膝をついて抜刀していた。
ドンッという音がして、男子生徒が倒れる。雪が弾込めを終えて、撃ったようだ。
「まったく、あの子にハメられちゃったわ。」
ポイッと雪が銃を捨てる。