牛乳と猫スーツ。
「じ、実は彩華さんにしようかと!!」
言ってから直樹は気づいた。そもそもどちらかなんて選ぶ必要はなく、普通にケーキを選んでいたと言えばよかったことに。
「姉さん?」
直樹が彩華と言った瞬間、優華の笑顔は消え、いつか見た凍てつくような、殺意のこもった眼光を直樹に向ける。
「え……う…あ…。」
生々しい殺意を一身に受けて、直樹は何も言えなくなる。
「兄さんより弱い分際で、姉さんに手を出そうなんて…。」
「がっ…う!?」
グッと鞘尻で喉を押されて、直樹が咳き込む。
「死んでください…。そして身の程をわきまえなさい、このウジ虫ぃ〜〜!!!」
腕を引き、直樹の喉に狙いを定め、突こうとする。
「ダメェェェェ〜!!!」
彩華の叫びに、優華の動きが止まる。
刀は直樹の喉元の数センチ手前で止まった。
「ダメですよ姉さん、夜に騒いじゃいけません。」
悪魔のような表情から、天使の笑顔になる。
「あう……。」
バタンとその場に直樹が倒れた。
「直樹さん!?どうしたんですか!??」
「直樹くん!?」
彩華と優華が直樹に駆け寄る。
「ナオキの未来が心配デスネ…。」
やれやれといったポーズでエリーゼが呟いた。
「(会長…あなたがいなくても……絶対に…手は出せない…です…。)」
そこで直樹は意識を失った。