牛乳と猫スーツ。
【商店街】
催しがあるといっても、主婦や学生がちらほら見えるくらいだった。
「もっと人が多いと思ったけどな。」
「いいじゃね〜か、直樹。少ない方が歩きやすいし。」
見渡していた直樹に悠斗が笑いながら言う。
「ねぇ悠斗。私、アレがほしい。」
真里香が悠斗の腕を掴んで、アクセサリーショップの店先に出ているネックレスを指差す。
「しょ〜がねぇな。」
「ありがと、悠斗!」
またもや彩華はうらやましいなという表情をして見ていた。真里香はウィンクして、あんたもやってみさいと合図を送る。
よし!と気合いを入れて、周りを見渡すと、雑貨屋にリボンが売られていた。
あれにしようと決めて、直樹に近づいていく。
「直樹くん!」
「どうしたの?彩華さん。」
「あのね、私…アレがほしいの!」
彩華は緊張して震えながら直樹を見つめて、自分の後ろにある雑貨屋を指差す。
「え?」
直樹は彩華の指の先を見る。
〔有名建築士が手掛けた家、8000万円。〕
震えていたせいで、隣にある物件の看板を指差していた。
「ごめん、無理…。」
また苦笑いしながら言う直樹。
「ちょっと、ごめんなさいね〜。」
直樹に笑いかけながら間に入る真里香。そのまま彩華を路地裏に連れて行った。
「あんたねぇ…。」
ギロッと真里香が彩華を睨みつける。