牛乳と猫スーツ。
【北部無名公園】
直樹は階段を駆け上る。
そして、たどり着いた。ジャングルジムやすべり台、ブランコなど多くの遊具がある。しかし誰もいない。直樹はまた走った。
一番奥にある日本本土を眺められる高台。先には十字架が立っており、カップルには人気の場所である。その十字架は改装中なのか、シートがかけられていた。
夕日が照らすその場所で、直樹は見知った顔を見つけた。
「遥?」
ベンチに1人座っている遥がいたのだ。
「(知り合いって遥のことだったのか?)」
直樹は遥の元へ走って行く。
「遥!」
「直樹。」
直樹に気づいた遥が立ち上がる。
「ケガはないか!?何かされなかったか!?」
遥の体に傷がないか見回す。
「何を言っているの?」
「だって、さらわれたんじゃ…。」
「私はあなたがここに来てほしいって聞いたんだけど。」
「え?」
誰かのイタズラだったのかと直樹は思い、安心する。
「それで、私に何か用なの?」
「あ、いや、その…。」
どうしたらいいのか迷う直樹。
「実はね、私も直樹に話があったの…。」
「何かな?」
「私…。」
夕日が遥の白髪をオレンジに染めている。