青い向日葵


「そういや、瑠実ってT中だったよね?どんな子だったの?」


女子の誰かが増田に尋ねた。


心配そうにではなく、深刻そうにでもなく、ただ知りたいという興味だけで尋ねているがありありとわかってしまい、俺は腹立たしくて仕方なかった。


そして、増田がどう答えるのかも不安だったし、クラスのみんなに春野がさらしものになるのが何よりも耐えられなかった。


「ちょっと来てくれ」


俺は増田の手首を握り、無理やり人気の少ない渡り廊下へ連れ出した。

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