ちび×ひめ Ⅰ
また意識が遠のいていく。
ぎしっ……ぎゅうとより一層握りしめる力を強くしていく。
途切れる前にあたしは最後の力を振り絞り、
「っく……あっ……っいったいわ!!」
妖怪の大きな目に足を振り上げ、思いっきり蹴り飛ばした。
『うわはっ。痛い……痛い……』
背ける妖怪は膝をつき、両手で顔を覆う。
見事にクリティカルヒットし、
『ば。馬鹿。逃げたぞ』
脱兎のごとくその場から神社へと走った。
社へ逃げ込むと、
『おのれ……』
悔しそうな声が後ろから聞こえてくる。
妖怪はここまで来れない。
それでも、まだ安心はできないから走る。
遠くまで――。