ちび×ひめ Ⅰ


また意識が遠のいていく。

ぎしっ……ぎゅうとより一層握りしめる力を強くしていく。



途切れる前にあたしは最後の力を振り絞り、


「っく……あっ……っいったいわ!!」

妖怪の大きな目に足を振り上げ、思いっきり蹴り飛ばした。


『うわはっ。痛い……痛い……』

背ける妖怪は膝をつき、両手で顔を覆う。



見事にクリティカルヒットし、


『ば。馬鹿。逃げたぞ』

脱兎のごとくその場から神社へと走った。







社へ逃げ込むと、

『おのれ……』

悔しそうな声が後ろから聞こえてくる。


妖怪はここまで来れない。


それでも、まだ安心はできないから走る。

遠くまで――。








< 12 / 16 >

この作品をシェア

pagetop