アニマルマジック
「竜二…?」さっきまでテレビを見ながらちょこちょこ話をしていた竜二が急に話さないものだから後ろを振り向くと静かに寝息を立てて寝ていた。
「可愛いなー……」私はすやすや寝ている竜二に手を伸ばして頭をいっぱい撫でてあげた。
「前に戻れたのかな?竜二……大好きだよ」頭の中で楽しかった思い出やあの事件がぐるぐると繰り返される。
「竜二も辛かったよね」私は携帯を見るともう8時前だった。いつの間にか5時間も一緒に居たんだ。時間を忘れるくらい私、落ち着いてたんだ。
そう思うと胸がキュンと熱くなった。私はこれだけでいい。この普通な出来事が一番幸せだから。
「帰ろ」携帯に来ていた友達からのメールに返事をしてそこから立ち上がった。
ってか私は何をしにきたんだ?腹立つな、竜二……買い物途中に連れて来られたのもすっかり忘れてた。
でも竜二の寝顔を見ればすっ飛んでいったよ。腹立つ気持ちも。
「バイバイ」最後に頭をポンポンとして足音を立てないようにそっと立ち去ろうとする。
「……っん?!」寝ているはずの竜二の手が私の腕に伸びる。