アニマルマジック

その後、竜二が教室に来ることはなかったからおとなしくなったんだなと自分勝手に解釈していた。部活中のこと。

「もう一本お願いしまーす」掛け声をかけながらラケットを構える。

「はーい」みんなの掛け声が帰ってくる中、私の向こう側にいる先輩が唖然とした顔をして立っている。

「先輩……?」私が呟くと苦笑いを返してくる先輩。後ろをみると部員の隣に座っている竜二の姿。

「うわっ」その子は隣の子と話してて気づかなかったみたいで相当驚いている。

「桃子、行くぞ」いきなり立ち上がって何が起こってるのかわからない私を引っ張る竜二。

「ちょ、ちょっと!!部活中だってば!」
「知るかんなもん。志波が邪魔するからよー腹立つわあいつ」竜二は歩きながら志波先生の悪口を言う。


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