アニマルマジック

「済まなかったな…」私の目を見ないで謝る竜二。
竜二のすべてに腹が立った。何、こいつは?
私にどうしてほしいの!?変わったと思えば今度は暴走。
迷惑もかけられて私はこの先、どうすればいいの?

私は頭に血が上ってしまい、竜二の顔を平手打ちしてしまった。
「もう竜二が何考えてるか分からない!!」
私は彼に背を向けて警察署を出た。

もう分からない…彼のすべてが。
私のことをどう思っているのかも分からない。

「おい、桃子!!」竜二が後ろから追いかけてきたらしい。
「何よ!?言いたいことあるんなら言えば!!私はまだ言いたいことたくさんあるけど」
腕を腰に当てながらすごい剣幕で彼にキレた。

「だから、済まなかったって」竜二は私の肩に手を置く。
「何が済まなかった!?今日ここまで来たこと!?事件起こしたこと!?暴走して私に迷惑かけたこと!?何が済まなかったのよ!!もー嫌。別れて」
私は思ってもないことを口にしてしまった。ほんとはそんなこと思ってないのに。イライラしているのはほんとだけど別れてほしいなんて思ったことない。でも今さら撤回できるわけでもなく、下を向く。

「却下。何で別れなきゃいけねーんだよ。謝ってんだろ!?」
ついに逆ギレ。こいつ…!!!!
でもなぜかほっとしている自分がいた。

「あ、謝ってるとかそういう問題じゃないんだから!!」私は前に進んでいく竜二の背中をドンと押した。
「ってーな!!お前、めんどくせー」あくびをしながらムカつく言葉をどんどん吐いてくるクソ野郎。
「は?!迎えに来たの誰だと思ってんのよ!!」私は一発蹴りをいれる。
うん、強くなった、私…。

「あーうっせー悪かったって」
「ほんとに謝る気あるの!?」私は竜二を睨みながら聞き返す。

それが家に着くまでずっと続いた。でもこんな風にできる自分は嫌ではなくて。
何て言えばいいのか分からないけどなんかほっとしたんだ。
それから、私が別れようと言うのが日課になっていた。口喧嘩が始まれば私の言葉と言えば“別れよう”。
そしてあいつの返事と言えば“却下。”だった。
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