わかれあげまん



「いつまで仏頂面してんだよ。」


「だって…ヤダって言ってんのに。…」


そんなつもりじゃないのに、悔しさが込み上げてきて柚の涙腺を緩めた。


両膝で拳を握りしめて、ギュッと前を凝視したままぽろぽろ涙をこぼす柚に、さすがに哉汰もぎょっとなった。


「ちょ、はあ!?泣くほどの事かよ?…何。たかが車の助手席乗るってだけで、あんた俺の彼女に対してそんなに罪悪感感じるわけ?」


「あたしがっ!」


「…?」


声高に言いながら、顔を右へあおり凛と哉汰を見据えた柚は続けた。


「あたしが藤宮くんの彼女だったら絶対、してほしくない!」


刹那思わず目を見開き、哉汰は柚の顔を見た。


「…」


それからすぐにクククと面白そうに喉を鳴らす。


「でもあんた、俺の彼女じゃないじゃん」


「!!」


な、、。


眉根を寄せた柚の顔が困惑に赤く染まった。


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