わかれあげまん
おたおたと瞬きをしながら、震える指でルチアを示し。
「あ、あの…ひょっとして…藤宮くんの、…カノジョ?」
「Si~!カナタのカノジョでぇーす!」
柚を見てニコッと笑んでから、ルチアがおどけるようにそう答えた。
途端助手席から転がり落ちるみたいに下り、
「ご、ごめんなさい!!ごめんなさいっ!」
と半泣きでわめきながら頭を下げる柚に、抱き合ったまま今度は哉汰とルチアがきょとんと見やる。
「…何が?」
と低く尋ねる哉汰に。
「えっ、だ、だって!あたし藤宮くんの助手席…乗っちゃったんだよぉ!?」
だ、だからヤダって言ったのにい!
しかもカノジョがあの有名なルチアちゃんって…っ
も、ど、どういうことですかあ~!?
涙目でそう訴えながらわななく柚を、ルチアは不思議そうに首をかしげ見てから。