わかれあげまん
「…ず!ゆず!」
ぼんやりと、あの駐車場での一幕を回想していた柚を現実に引き戻したのは、美也子の少し尖った声だった。
え?と、となりに座った美也子の横顔に視線を向けると、強張った顔で、ホラ、と柚を顎で促した。
「あ・・・っ」
談笑をやめた渡良瀬がドリブルをつきながらじっと柚を見つめていた。
いかにも何か言いたげに、感傷的な瞳なのは彼の姑息な策の内なのかどうかは分からなかったが。
柚は身を固くし、目を見張った。
「あんなのシカトよシカト!」
美也子はずばっと小声でそう短く囁いた。