わかれあげまん
「で、でもカナタ、イタリア語わかんないしい、来ても楽しくないょ?」
「・・・」
「それに、ニギヤカ、苦手でしょ?ね・・・?」
「…。」
「ね?カナタあ~」
いらだつように短く溜息を落として、哉汰はレポート編集途中のパソコンを閉じた。
そう。
学内ではいつもこれ見よがしに哉汰にまとわりついているルチアは、月に数度、留学生仲間と飲みに行く店にだけは、何故か一度たりとも彼を連れ立とうとしなかった。
こうして同行の意志を示してもどうせ歯切れの悪い対応が返ってくるだろうことは、本当は哉汰も理解していて。
「…分かってる。別にルゥの留学仲間との楽しい時間を邪魔立てする気ないし。好きにすれば?」
「…ごめんって。…カナタあ。」
後ろめたいのか、ルチアは甘やかな声で言いながらメイク途中のまま立ち上がり、哉汰の背後に回るとそっと後ろから彼を抱きしめた。