わかれあげまん
何度も合わされる唇を、朦朧としたまま受け入れるだけの柚。
…バスタオル一枚とはご親切にどうも。
心の中で密かにそう嘲笑し、渡良瀬はかろうじて彼女の身体を覆っていたそれをするりと解いて床に捨てた。
「先…輩。」
「・・・ん?」
「…信じて、いいの?」
「…」
「ずっと、あたしの傍にいてくれるって。」
微かに残った平常心に必死に鞭打つようにしてそう尋ねてきた柚は、不安げに見開いた子猫のような瞳をして幼けで愛らしく、皮肉なことにそれは渡良瀬の野獣のように身勝手な欲望を掻き立てていくだけだった。
「もちろんだよ。」
とうわべだけの甘い答えに、柚が嬉しそうに涙さえ浮かべた。