わかれあげまん



「分かったらもう黙って。…」


急くように這い始めた渡良瀬の掌に、応えるように身体の力を抜くと、ロッカールームの中央に置かれたベンチソファに座らされた。


「ひぁ!?」


いきなり足首を掴んで持ち上げられたので、柚はもんどりうつように冷たい合皮製のベンチソファに仰向けに倒れ、そしてすかさず上から長身の渡良瀬の身体に覆われた。


熱い吐息を漏らしながら、首筋を忙しく這い回る唇と、

妖しく太股を撫でる、大きな右の掌。


それはやがて柚の意志などまるで関係なしに、身勝手な侵略を始める。



「いっ…!」


およそ心地良いものとは類を違えた感覚が柚の身体を襲い、そこでようやく、彼女の中に小さな自問が灯った。




ねえ…

待って、柚。


本当にいいの?



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